ケントリッジの南アフリカ



ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)は、1980年代末からアニメーション・フィルムを制作してきました。それは、木炭とパステルで描かれたドローイングを基本とし、それを部分的に変化させながら、1コマごとに撮影されたものです。彼の作品が「動くドローイング」と呼ばれるのはそのためです。


この気の遠くなるような作業そのものが、この国の特異な物語性とその時間を物語っています。いうまでもなくそれはアパルトヘイトであり、西欧支配の歴史です。初期のころからケントリッジの作品は、脱ヨーロッパ的な思想と共振する部分が強く、90年代になるとこれらが世界から注目を集めるようになりました。

1955年南アフリカのヨハネスブルグ生まれ。若いころは俳優を志したそうですが、断念し、テレビ局で制作の仕事を始めます。創作活動を開始したのもそのころからです。80年にエッチングのシリーズを制作し、その後も作品を残していきます。フランシス・ベーコンのような表現主義的な生々しいものもあれば、ドーミエを思わせるような風刺を感じさせるものもあります。共通するものといえば全体的には素朴で、かつ暴力の匂いが漂っていことでしょう。

アニメーションに使われたドローイングは、それがよりわかりやすい形で現れています。精緻な表現が主流の時代にあって、その表現は対極的なものです。ただし、それが感情の発露かというとそうではなく、強靱な知性に支えられているという印象が強く残ります。音楽がきわめて効果的に使われ、作品に大きな効果をもたらしていることも忘れがたいものです。

画  集
   

※ ケントリッジのフィルム作品(YouTube)


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